水の都 しゃんどらんど

水の都での日常を記していきます。

フィクション

12.「それでもあなたに言われたくなかった」

年末年始は帰省をしていた。九州の実家でのんびりとしたり、友達と遊んだり、買い物に連れて行ってもらったり。基本的にはよく寝ていた。リラックスできていたのだろう、昔はあんなに居場所が無かった実家も、今ではいつ帰ろうかと考えられる程度にはなって…

11.「それはまるで私の人生そのものみたいに」

令和元年に滑り込みで結婚をした。滑り込みだったもんで、いわゆる両家顔合わせというやつを設ける機会もなく、また、相手方も私の方も今後顔合わせ出来る機会があるかと言われれば微妙なものだった。相手方は仕事の都合上、私の方は、祖父母の介護の都合上…

8.「だから私は怖いのかもしれなくて」

「あのさ、『子どもがほしい』ってどんな気持ちなの?」 「あんたそれ、私に聞く? 私、デキ婚よ?」 * 野暮用があって区役所に行くことになった。田舎の区役所とは辺鄙なところにあるため、母親が車で送迎してくれることになって、書類手続きの待合時間に…