水の都 しゃんどらんど

水の都での日常を記していきます。

やさしいひとはひどいひと

優しいってなんだろうと思う今日このごろ。

たとえば借金で苦しんでいる人がいるとして、「何かあったら頼ってね」と言うのは優しいと思う。でも、その人の傍に金持ちがいたとして、「じゃあ借金を肩代わりして返してあげよう」と言うのは優しさだろうか。優しい、とは思う。実際、「何かあったら頼ってね」という言葉は優しくはあるが、根本的な解決には至っていない。後者は力技とはいえ、現実的にその人の抱えている問題を解決してあげている。

 

これは優しさだろうか。

 

私はどちらだろうと思ったとき、答えは「どちらも」だ。何かあったら頼ってねと言いつつ、本人の意思を無視して無理やりお金を渡すと思う。これは優しくなんかなくてエゴだ。……でも、エゴと優しさの境目ってどこにあるのだろう。自力でなんとか出来るように補助してあげるのが一番なのだろうけれど、生憎わたしは金の稼ぎ方なんて知らない。「出来ることをしてあげる」は優しさか、エゴか。もちろん本人が望んでいなければただの迷惑でしか無いけれど。

 

たとえば目の前で泣いている子がいたとき、抱きしめて撫でて泣き止むまで一緒にいてあげることはエゴだろうか。その後の責任を取らないくせにそんなことをするのは、やはりひどいことだろうと思う。けれど、目の前でつらそうにしている子に何もしてあげないのは、果たして優しさだろうか? 上手い言葉なんてこの世には無いと思う。その子が泣いていることに意味はきちんとあって、それに対するフォローなんて傷口をえぐっているだけではないだろうか。

それでも私は抱きしめて撫でてキスをしたい。私という人間は、こんなにもひどい。

いつか報いがくると思う。でもそれは甘んじて受けようと思う。もしも、もしも私に作れる幸せがあるのなら、そこがどこであっても駆けつけて最善を尽くすので、そのときは私に連絡をしてほしい。エゴイズムの塊な私に。